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日大鶴ケ丘の住=2025年7月22日午後0時39分、府中市民、岡田昇撮影
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(22日、第107回全国高校野球選手権西東京大会5回戦、国士舘5―4日大鶴ケ丘)

 「流れがガラッと変わる。そういうものを持っている子」

 日大鶴ケ丘の萩生田博美監督が、そんな表現で信頼を寄せるエースの住日翔夢(ひとむ)(3年)。三回表、その住の出番がやってきた。スクイズで追加点を奪われ、0―2。さらに内野安打で1死一、二塁とピンチが続く場面だった。

 住は「この夏は自分がチームを勝たせる」とマウンドへ向かう。続く打者を内野ゴロに打ち取るなどし、追加点を許さなかった。

 最速140キロ超の左腕。伸びのある直球をテンポ良く投げ込み、空振りを奪う。春季都大会の帝京戦で本塁打を浴びて敗れてからは、これまで以上にボールの強さを意識するように。ウェートトレーニングや走り込みで体を鍛え直し、迎えた最後の夏だった。

 住は四回以降、スコアボードに「0」を重ねていく。すると、六回裏、日大鶴ケ丘は三つの四死球などで1死満塁の好機をつかむ。まさに住が引き寄せた「流れ」だった。ここから、連続スクイズや長打で、一挙に4点。試合をひっくり返した。

 だが八回、2死満塁から住が「気持ちで抑えよう」と投げ込んだ直球を右翼へ運ばれる。走者一掃の適時打となった。それでも、味方の逆転を信じ、「ここからは、もう1点もとられない」と腕を振った。

 九回裏もベンチの中央で味方に声援を送った。試合終了後、三塁側の応援席に向かって頭を下げた後、帽子で顔を覆った。「チームメートみんな仲が良くて、最後まで応援やサポートをしてくれた。全員で甲子園をめざせて、最高の高校野球人生でした」=府中市民

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